シンガポールとジョホールバルを行き来する旅行者は、まもなくパスポートを提示せずにQRコードで入国審査を受けられるようになる。マレーシア政府は9月22日から「国家統合入国管理システム(NIISe)」の試行を開始するためだ。
新アプリ「MyNIISe(マイナイス)」はマレーシア人に加え、シンガポールを含む63の国・地域の旅行者を対象とし、ジョホールバル市内のチェックポイントとセカンドリンクで導入される。試行期間は2026年2月28日までで、その間にクアラルンプール国際空港(第1・第2ターミナル)、ペナン、クチン、コタキナバルの計5空港にも段階的に拡大される予定だ。
MyNIISeは1日30万人以上が通過する両チェックポイントの混雑緩和を目的としている。プロジェクトチームによれば、グループ旅行者は1つのQRコードでまとめて審査を受けられる仕組みとなっており、従来の「MyBorderPass」アプリで必要だった個別スキャンより効率的だという。また、このアプリは将来的にジョホールバル・シンガポール間の高速輸送システム(RTSリンク)でも活用され、出発地でのみ双方の入国審査を行う「ワンストップ方式」にも対応する。
ただし旅行者は引き続きパスポートなど有効な渡航書類を携帯する必要がある。ジョホール州のモハマド・ファズリ州インフラ・交通・通信委員長は「2025年8月から職員や一部利用者を対象に内部テストを行ってきた」と述べ、混雑緩和への期待を示した。
今回の試行では、ジョホールバルのチェックポイントに27の対応ブースが設置される。内訳は自動車の入出国用に各8カ所、出国バイク用に7カ所、到着・出発ホールに各2カ所である。セカンドリンクでは24ブースが用意され、自動車用が各6カ所、バイク用が各4カ所、歩行者用が各2カ所となる。今後は段階的に拡充される見通しだ。
試行期間中は従来のMyBorderPassも利用できるが、マレーシア内務省は旅行者にMyNIISeの使用を推奨している。同アプリはすでにApple App Store、Google Play、Huawei App Galleryで提供中である。
MyBorderPassは2024年12月に唯一の入国QRコードアプリとして発表されたが、当初はMyTripやMyRentasを含む3種類のアプリが試験導入されていた。試行終了後はNIISeが既存のQRコードシステムに代わり、国境管理におけるセキュリティ強化の一環となる。
マレーシア内務相サイフディン・ナスティオン・イスマイル氏は2025年3月の国会で、アプリのダウンロード数が78万6,000件を超えたと報告した。さらに2026年1月1日からは、対象63カ国・地域の旅行者や長期滞在パス保持者もQRコードで入国審査を受けられる可能性があると述べた。対象には米国、英国、サウジアラビア、日本、韓国、シンガポールなどが含まれる。
NIISeは2021年にムヒディン政権下で導入された数十億リンギ規模のプロジェクトで、脆弱性が指摘されていた旧システムを置き換えるものだ。当初の開発企業アイリス・コーポレーションの11億リンギ契約は遅延を理由に2023年に解除され、その後2024年10月にヘイテック・パドゥが8億9,200万リンギの契約を獲得し、5年以内の完成を目指している。
内務省は導入時期を当初予定の2026年3月から前倒しし、人工知能や顔認証技術を組み込むことで、より迅速かつ高度な国境審査を実現するとしている。
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