シンガポールの非石油国内輸出(Nodx)は2025年8月、前年同月比11.3%減と大幅に落ち込み、7月の4.7%減からさらに悪化した。電子・非電子製品ともに米国の関税措置が響いた。
政府機関エンタープライズ・シンガポールは、関税の影響を注視しており、状況次第では通年の輸出見通しを修正する可能性を示唆した。ブルームバーグの市場予想(0.8%増)を大きく下回った今回の結果について、オックスフォード・エコノミクスのシーナ・ユエ氏は「関税発効前の駆け込み需要が一巡し、輸出の下押し圧力が強まった」と分析。第3四半期のGDPは前期比で縮小する可能性が高いと指摘した。
DBS銀行のチュア・ハンテン氏は、シンガポール製品への米国関税は10%に据え置かれているが、8月から他国に対する追加関税が発動されたことでサプライチェーンを通じて外需に影響が波及していると述べた。特に電子部品や医薬品は、今後予定されている米国の追加関税に脆弱であると警告した。
輸出の内訳を見ると、電子製品は前年同月比6.5%減と10カ月ぶりに減少に転じた。ディスク媒体や集積回路、パソコン部品が主因である。非電子製品は13%減と2024年3月以来の大幅な落ち込みで、機械類、食品加工品、石油化学製品が減少した。
輸出先別では、米国向けが28.8%減、中国向けが21.5%減、インドネシア向けが39.6%減と大幅に縮小。台湾、韓国、欧州連合向けは増加したが、伸びは鈍化した。
一方で、再輸出は堅調だ。バンク・オブ・アメリカによると、7~8月の非石油再輸出は第1四半期の月平均を9%上回った。コンテナ取扱量は過去最高を更新し、シンガポールのハブ機能は健在である。同社はこうした動きを踏まえ、2025年のGDP成長率見通しを2.3%から2.9%に引き上げた。
メイバンクは2025年の成長率を3.2%、2026年を2%と予測し据え置いた。同社のチュア・ハクビン氏とブライアン・リー氏は「輸出は減速しているが、長期的な深刻な停滞は想定していない」と述べた。製造業の景況感を示す購買担当者景気指数(PMI)は8月に50に改善し、回復基調を示した。
特にエレクトロニクス分野は、AI需要の拡大を背景に9月以降の持ち直しが見込まれる。ASEAN域内の関税優位性や金利低下、建設需要の拡大、財政出動も景気下支え要因となっている。金融や不動産取引など非貿易部門の指標も堅調で、第3四半期の経済は底堅さを維持するとの見方が強い。
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