シンガポールドルは2026年も、アジア周辺国の通貨に対して緩やかな上昇基調を維持する見通しだ。OCBCのチーフエコノミスト、セレーナ・リン氏が1月6日、同行のプライベート顧客向け投資セミナーで明らかにした。
リン氏は、2025年に低水準だったインフレ率は2026年にやや上昇する可能性があるとしながらも、金融管理庁(MAS)がシンガポールドルの緩やかな上昇を容認する現行の金融政策スタンスを変更する必要性は低いと指摘した。「政策は据え置かれる可能性が高く、シンガポールドル名目実効為替レート(S$NEER)の傾きはわずかにプラスになる」と述べた。
その結果、シンガポールドルは日本円を含む地域通貨に対して穏やかに上昇すると見込まれ、海外旅行を検討する国民にとって追い風になるという。リン氏は、堅調な経済成長、底堅い内需、安定した金融環境を背景に、2026年のシンガポール経済は「良好な局面」にあると評価した。
シンガポール経済は2025年に4.8%成長し、政府予測の4%を上回った。これはコロナ禍から急回復した2021年以来の高い成長率である。リン氏は、AI関連投資の拡大や金融・保険分野の好調、訪問者数の増加が続けば、2026年の成長率が政府予測の1~3%の上限を超える可能性もあると述べた。
一方、2025年は米国の関税政策を巡る不透明感があったにもかかわらず、ASEAN諸国の経済はAIやデータセンター関連需要、金利低下、底堅い個人消費に支えられ、想定以上に好調だったと分析した。ただ、その反動から2026年には一部の国で成長が鈍化する可能性もあると指摘した。
米国については、OCBCは米連邦準備制度理事会(FRB)が2026年に少なくとも1回の利下げを行うと予想している。2025年の利下げを受けて米ドルは軟調だったが、2026年も緩やかな下落が見込まれるという。ただし、利下げの一時停止や地政学的リスクが高まった場合には、米ドルが下支えされる可能性もあるとした。
リン氏は「米国が近く景気後退に陥るリスクは低く、主要経済国では全体として安定した成長が見込まれる」と述べ、比較的穏健な世界経済見通しを示した。
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