シンガポールのKeppelは8月11日、子会社M1の通信事業を同業のSimba Telecomに14億3,000万シンガポールドル(約1,540億円)で売却すると発表した。これはシンガポールで初となる通信業界の統合案件となる。
今回の取引は、現金と負債を含めM1の企業価値を14億3,000万シンガポールドルと評価したもので、Keppelは保有する有効持株比率83.9%分として約10億シンガポールドルを受け取る。Keppelは今後、M1の法人向け事業を引き続き保有し、自社のデータセンターや海底ケーブルなどの接続事業と連携させる方針だ。
市場では以前からM1売却の観測があり、買い手はStarHubと見られていたが、最終的にSimbaが選ばれた。背景には、格安プランを提供する仮想移動体通信事業者(MVNO)の拡大により、既存通信会社の契約者1人当たりの収益が低下している現状がある。
Keppelは声明で、「今回の取引は通信業界の統合によって市場の競争力を高め、消費者や業界全体に利益をもたらす」と強調。M1の高度なクラウドネイティブネットワークとSimbaの革新的な消費者向けモデルを組み合わせることで、相乗効果が期待できるとしている。
Simbaは2024年末時点で加入者数が100万人を超える国内4位の通信事業者。最大手のSingtelは450万人、StarHubとM1はいずれも約200万人の契約者を抱える。
Keppelは、Simbaが提示した全額現金による高額入札が最も魅力的で、両社は経営資源の重複が少ないため、新たな収益源や雇用創出が見込めると説明している。取引完了は数カ月以内を予定しており、情報通信メディア開発庁(IMDA)の承認が必要だが、両社とも株主承認は不要。
M1の売却対象事業は2023年度(4月期)に売上高8億610万シンガポールドル、Ebitda(利払い・税引き・償却前利益)1億9,540万シンガポールドルを計上。今回の取引は企業価値ベースでEbitdaの7.3倍に相当する。
Keppelは今回の売却を「アセットライト型の経営戦略の一環」と位置付け、デジタルインフラ分野に経営資源を集中する考えを示した。一方、簿価との差から約2億2,200万シンガポールドルの会計上の損失が見込まれるという。
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