タイ政府が付加価値税(VAT)を段階的に引き上げる方針を示したことを受け、外食業界が強い懸念を表明している。業界団体は、増税が事業者のコストを押し上げ、消費者物価を一段と引き上げることで、生活負担が増大する恐れがあると警告している。
政府は財政再建策として、現行7%のVATを2028年に8.5%、2030年に10%へ引き上げる計画だ。これは、2029年度までに財政赤字をGDP比3%未満に抑える中期財政構造改革の一環である。
レストラン・ビジネスクラブのソラテープ・ロットポッチャナルット会長は、財政安定の必要性を認めつつも、業種別に慎重な検討を求めた。
「引き上げ自体には反対しないが、外食産業を含む特定業種への影響は極めて大きい。生活コストを押し上げ、高インフレを招く可能性がある」と述べた。
■ 外食産業に偏る税負担
外食業界は、主要原材料である農産物・生鮮食品がVAT非課税であるため、仕入税額控除がほとんど受けられず、実効税負担が重い構造にある。
ソラテープ氏は「現状でも外食産業のVAT負担は過大だ」とし、欧州のように食品や外食に軽減税率を適用する国々を例に、消費者保護の観点からの見直しを求めた。業界は、レストラン、食品、観光・宿泊業に限り現行7%の維持を提案している。
■ 財政改革の全体像
VAT引き上げは、11月18日に閣議承認された財政改革パッケージの一部で、政府は以下の歳入強化策も打ち出している。
燃料税:2027年にガソリン・ディーゼル税を1バーツ引き上げ
輸入関税:1,500バーツ未満の商品に関税を適用
所得税:個人所得税の構造見直し
国営企業:納付金率を5%引き上げ
政府は移行期間中の「緩和措置」を掲げるが、専門家の間では、最終的には増税分が消費者価格に転嫁され、景気回復を阻害するとの見方が強い。
政府は、歳入をGDP比15.1%に引き上げ、歳出を18%前後に抑えることで、外部環境の不確実性に耐えうる財政基盤の構築を目指している。
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