【マレーシア】F&N、チリ産乳牛2,500頭導入、年内に初搾乳へ

マレーシア
Kenanga Research has cut its earnings forecast for F&N next year by 2% to account for depreciation and operating costs associated with the dairy farm.

Fraser & Neave Holdings Bhd(F&N)がネグリ・スンビラン州ゲマスで進める統合型酪農事業「アグリバレー」において、チリから2,500頭のホルスタイン種乳牛が到着した。昨年の輸入許可取り消しという障害を乗り越え、同社の30億リンギット規模の生乳生産プロジェクトが大きく前進した。アナリストらは、F&Nの長期的成長とマレーシアの食料安全保障に向けた戦略的転換点と位置づけている。

今回到着した乳牛は、全頭がGenomic Total Performance Index(GTPI)による遺伝子評価を受けており、当初予定されていた米国産牛と同等水準の能力を持つ。GTPIは2,500以上で、1日最大40リットルの生乳を生産できると見込まれている。牛たちは現在、F&Nが敷地内に設置した気候管理付き施設で検疫下にある。

ケナンガ・リサーチは、「初期費用や減価償却により短期的な利益は圧迫されるが、長期的にはF&Nの乳業分野での成長を後押しする重要なステップ」と評価した。今年半ばには初の搾乳が始まる見通しである。

同リサーチはF&N株に対する「アウトパフォーム(買い推奨)」を維持しつつも、来年度の利益予想を2%下方修正した。一方で目標株価は、従来の28.50リンギットから29.80リンギットへと5%引き上げた。

F&Nは、安定した食品需要に支えられた堅調な収益体質と、即飲(RTD)製品における強い市場プレゼンスを背景に、インフレや不確実な世界経済情勢の中でも競争力を維持している。また、タイへの観光回復やマレーシア国内消費の回復にも恩恵を受けている。

一方、MIDFリサーチもF&Nの取り組みを高く評価し、「今回の乳牛導入は、F&Nがマレーシアの生乳生産の質を引き上げ、長期的な食料安全保障の確保に貢献する証である」と述べた。

F&Nは単なる飲料メーカーから、川上から川下までを担う垂直統合型の乳製品プレーヤーへと変革を進めている。ゲマスの統合型酪農場はその中核に位置しており、ブランド価値の向上や輸入依存の低減といった面でも大きな波及効果が見込まれている。

MIDFは、アグリバレーでの初搾乳および商業生産開始を待ち、当面は今年および来年の業績予想を据え置いた。併せて、株価評価指標を従来のPER22.5倍から20倍に引き下げ、目標株価も36.77リンギットから32.68リンギットへと修正した。

同社は「F&Nの堅実な収益性と粘り強い消費者基盤により、今後も有望な成長が期待できる」とし、必需食品や飲料への安定した需要がF&Nの強みを支えていると強調した。さらに、即飲飲料の人気や観光回復による外食・外出需要の増加も、同社の成長を後押ししている。

長期的には、ゲマスにおける統合型酪農場への投資が、F&Nの供給網強化およびマレーシア国内の未開拓な生乳市場の需要に応える原動力になるとみられている。

※ソース

F&N moves closer to milk production with new herd
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