シンガポールの一部ホテルが、急速に人気を集めているパドルスポーツ「ピックルボール」を取り入れ、宿泊客や一般客を惹きつけている。コートやレッスンを提供することで、HDB団地でのコート予約の難しさや騒音苦情といった課題に対応しつつ、新たな収益機会を開拓しているのだ。
フラトンホテルとフラトン・ベイ・ホテルは5月、マリーナベイ・サンズを望むワン・フラトンの屋上にピックルボールコートを設置した。眺望を楽しみながらプレーできるのが特徴である。
ノボテルとメルキュール・シンガポール・オン・スティーブンスは、使われていなかった屋外テニスコートをピックルボール用に転用。2月からホテル利用客と一般客に開放し、予約数は30%増加した。予約の半数以上は宿泊客以外からで、特に夜間や週末の需要が高いという。問い合わせも増えており、トーナメント会場として利用できるか確認するケースもある。結婚式を同ホテルで挙げたカップルが、趣味のピックルボールを背景に写真撮影を希望した例もある。
フォーシーズンズホテルは今年1月、屋外テニスコート1面をピックルボールとパデル(テニスとスカッシュを組み合わせた競技)の2面に改修。その結果、3競技合わせた予約数は37%増えた。8月にはホテル初のピックルボールとパデルの2日間トーナメントも開催された。
利用料金は宿泊客が1時間あたり35~40シンガポールドル、一般客が35~60ドルで、平日昼のオフピーク時間帯は割安となる。宿泊客にはラケットやボール、シューズやウェアの無料貸し出しも行われ、フォーシーズンズではサウナやスチームルームも利用できる。個人・団体レッスンも有料で提供され、料金はホテルにより100~150ドル程度である。
9月23日午後6時頃、メルキュール・オン・スティーブンスの2階コートでは、宿泊客以外の10人以上がプレーしていた。スケッチャーズのトレーニングマネジャー、ケビン・ホー氏(37)は「他の場所は昼しか空いていないことが多く暑さが厳しい。ここは予約が取れるのでありがたい」と語った。ビジネス開発職のジュディ・タン氏は「仕事後の仲間との社交の場として楽しんでいる。HDBのコートは先着順で騒音問題も心配だが、ホテルなら安心できる」と話した。
ホテル側は飲食部門の売上増も報告している。フラトンでは宿泊客以外がコートを利用する場合、最低20ドルを飲食店やスパで使う必要がある。フォーシーズンズではアプリ経由でコートサイドに飲み物を注文できるほか、プレー後にプールサイドレストランで食事をする利用者が増えた。ノボテルとメルキュールでもピーク時間帯の来客数が最大10%増加したという。
また、トーナメント参加者による宿泊需要もじわじわと増えている。将来的には、誕生日や企業イベントにピックルボールを組み込んだパッケージの提供や、プールや食事と組み合わせた大会開催も検討されている。
ノボテルとメルキュールのゼネラルマネジャー、ピオトル・クピエツ氏は「ピックルボールを導入することで、単にスポーツを提供するだけでなく、都市型リゾート体験を創り出している」と述べた。
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